2025.07.0817:00
CUTIE STREET ソロインタビュー Vol.2:増田彩乃「やっと恩返しができる」――全ての経験を糧に届ける感謝
「一度辞退をしそうになった」――ミスコン挑戦で動き出した人生
――増田さんは、昔から芸能活動をしたいと思っていましたか?
増田彩乃(以下、増田):いえ、芸能の道に行きたい気持ちは特になくて。夢はないけど、毎日をただただ楽しく過ごしていました。でも高校1年生のとき、クラスに私が芸能活動をするきっかけになった大切な友達がいまして。その子と出会えていなかったら、今こうして表舞台に立つこともなかっただろうな、と思います。何より夢や目標のなかった自分が「私のやりたいことはアイドルです!」と自信を持って言えるのが、すごく嬉しくて。その子に対しても感謝の気持ちでいっぱいです。
――その友達というのは?
増田:芸能活動のきっかけが『女子高生ミスコン2020』(“みんなで選ぶ、日本一かわいい女子高生”をコンセプトに2015年から開催されているコンテスト)だったんですけど、その子が高校1年生のときにそのミスコンに出場していて。
――増田さんよりも先に出場していた。
増田:はい。その友達は、私が高校に入学したときに一目惚れした子だったんです。「お人形みたいだ」と思って、お母さんにも「お人形がクラスにいた!」と話していたぐらい可愛かったので、1次審査や2次審査を通過するたびに「あの子なら納得!」と思っていて。最終選考会の日には、私も会場に行って「頑張ってね!」という気持ちで応援していたんです。それから高校2年生になったとき、その友達が「彩乃も出てみたら?」と言ってくれて。最初はミスコンに自分が出ることに少し怖さもあって。
――真っ先に恐怖がよぎったと。
増田:そうなんです。でも、その子はミスコンに出たことで「自分の夢を見つけられた」と言っていて。一方で、私は高2の進路を考えるタイミングになっても、自分のやりたいことが見つからなかった。ちょっと焦っている時期だったから「挑戦するのもアリなのかな……?」と思って。家族と相談して「試しにエントリーして、1次審査が通ったら考えよう」という気持ちで応募しました。
――審査が進んでいくにつれて、心境の変化はありました?
増田:一度辞退をしそうになったときがあって。その理由はライブ配信のランキングでした。私が参加した年から「タイムライン審査」が導入されて。1日の投稿数が決まっているなかで、トータルの“いいね”数で競うという内容だったんですね。誰かとお話しする時間は好きなんですけど、どれだけ配信をしても画面の向こうで誰が見てくれているのか分からないし。応援してくれる子がいることはすごく嬉しかったんですけど……(目に涙を浮かべて)その子達に申し訳なくなっちゃうことが多かったです。
――ゆっくりで大丈夫ですよ。
増田:その状況もすごくしんどかったので、ライブ配信で進んでいく形式が自分に合わなかったというか。「これが本当に正しいのかな?」と思い始めちゃって、しんどくなったときがあったんです。でも、すごくありがたいことに私が1位をいただいて、ファイナルまで進むことができたんです。“いいね”をしてくれたみんなと、喜びを分かち合うことができてよかったなって。あのときに諦めないでよかったな、ってすごく思います。
――今、話しながら涙を流されましたけど、それは過去の自分に対して「頑張ってよかった」という気持ちからですか?
増田:それ以上に当時は応援してくれている子たちに対して、申し訳ない気持ちになることが多くて。そういう全部が繋がって、こうして自分の頑張りたいことに出会えているから。……(再び涙を流して)ずっと恩返ししたい気持ちがあったんですけど、あんまりできていなかったので、あのときに応援してくれていた子が今どのくらいいるかは分からないけど、その子たちがいたから今の自分がいる。やっと恩返しができるようになったのかな、と思うと本当に嬉しいんです。
――そもそも、アイドルに興味はありましたか?
増田:小学生の頃、AKB48さんが大好きでめっちゃハマっていました。アイドルには憧れたけど、自分がなるのは違うだろうなって感じがしていて。“雲の上の方々”みたいに思っていました。
――今のご活躍もそうですし、オーディションの映像を拝見していても、増田さんはアイドルの素質がモリモリな印象がありますよ。
増田:ええ! これで、ですか?(笑)。
――その笑顔やはつらつさも含めて、アイドルになるべくしてなった人に見えます。
増田:はははは! すごく褒めてくださって、嬉しいです(笑)。
――増田さんはCUTIE STREETのメンバーになるため、合宿オーディションに参加されました。振り返ってどんな時間でしたか?
増田:目の前のことにずっと必死でした。先の未来よりも明日の発表で全部を出し切らないと終わりじゃないですか。だから目の前のことに必死に取り組んでいました。
――オーディションを通して、嬉しかった思い出はありますか?
増田:えー、なんですかね? 夜に食べたアイスとか。
――はははは、いいですね。
増田:アイスの自販機があったんです。そこでメンバーの梅田みゆとよく話していて。そもそも、みゆとはミスコンのときから一緒で、その後も同じアイドルグループで活動していたので、気づけば長い付き合いなんです。まさか同じオーディションに参加するなんて思ってもみなくて。「みゆがいて、本当によかった。一緒にアイス食べる?」みたいな話をしたのがいい思い出ですね。もしかしたら、毎日食べていたのかな(笑)。
――2人でどんな話をされていたんですか?
増田:前のグループが活動終了するとき、私たちの中で目標があったんです。それは『TOKYO IDOL FESTIVAL』(通称『TIF』)に出ること。「いつか『TIF』に出られるぐらい大きいグループになって、また再会したいね」と約束していて。きゅーすと(CUTIE STREETの略称)のメンバーになれば『TIF』でデビューできることは事前に伝えられていたので「このオーディションに受かれば、2人の夢が叶うんだよ! すごくない?」という話をよくしていました。
弱さを見せず、全力でCUTIE STREETとして過ごす日々
――いざ、メンバーに選ばれたときの心境はいかがでしたか?
増田:ドキドキの毎日だったので嬉しさもあり、この8人でたくさんの夢を叶えたい気持ちが大きくなったし、安心もしましたね。みんなと一緒にいることに、最初からすごく安心感があって。今も本当に仲が良いんですけど、出会ったときからみんなといるだけで心が落ち着いたんです。そんなメンバーとこれから活動できる安心感と喜びを噛み締めて、高みを目指して頑張りたいと思いました。
――CUTIE STREETになったんだ、と初めて実感した瞬間は覚えていますか?
増田:やっぱり『TIF』でデビューさせていただいたときですね。KAWAII LAB.のステージがありまして、私がずっと見ていたふるっぱーさん(FRUITS ZIPPER)、きゃんちゅーさん(CANDY TUNE)、すいすいてさん(SWEET STEADY)のあとに私たちも踊ったんですけど、もう夢みたいで。「KAWAII LAB.の一員になれたんだ」と感動しました。何より、自分達の曲をお客さんの前で披露できて「私、本当にCUTIE STREETになったんだな」と感動しました。
――しかも、ずっと目指していた『TIF』の舞台ですもんね。
増田:はい! ずっと忘れられない素敵な思い出です!
――8月4日にはデビュー1周年を迎えますが、心境はいかがですか?
増田:この間、「合宿から1年が経ったんだね」という話をメンバーみんなとしていて。「え、もうそんなに経ったんだ!」と言っていたんですよ。デビューしてからの1年もめっちゃ早かったなと思います。
――体感としてあっという間でした?
増田:本当にあっという間でした。気づいたらもう6月になっていて、1カ月1カ月が気づいたら終わってる感覚で。毎日いろんな経験をさせていただいてることがすごすぎて。あっという間の1年だったし、「いざ1周年を迎えたときにグループがどうなっているのかな?」みたいな想像はよくします。
――これまでの活動で印象に残っていることは?
増田:全部が印象に残っていますけど、その中でも初めてのリリースイベントが思い出深いです。ふるっぱーさんと一緒だったんですけど、ステージに立ったら見たことがないほど、たくさんの人がいて。リリースイベント自体も人生初だったので、どんな感じなんだろうって気持ちもあったからこそ、その景色を見て「すごー!」となって。いつか自分たちの単独でも、これぐらいたくさんの方と過ごせたらいいな、という気持ちが芽生えました。その後、自分たちの単独リリースイベントでも、たくさんの方が来てくださったりとか「チケットの抽選が外れて会えない」って声が届いたりして。今までは、有り余ったチケットを持って「皆さんよかったら来てください!」と必死にお願いをすることが多かったから、私たちに会おうとして会えない事態になっていることがびっくりで。自分たちが想像している以上に、まだ会えていない方が大勢いるのかなって思うと……みんなにすごく会いたくて。毎日とんでもないことが起きているな、って思います。
――テレビの収録はどうですか?
増田:初めてのテレビ出演も印象深いですね。テレビってずっと観ていたものだから、そこに自分が出ている実感が湧かなかったんですけど、家族も「すごい!」と言ってくれたり、お友達も「私が知っている彩乃じゃないみたいで、変な感じがする」と言っていて(笑)。
――ははは。ご家族やお友達など、前から知っている方にはCUTIE STREETの増田彩乃はどう映っているんでしょうね。
増田:お父さんはライブ映像とかMVを観て「彩乃じゃないみたいだ!普通に推しや!」って(笑)。
――最高の褒め言葉ですね。
増田:ははは。普通にアイドルの1人として見えているらしいです。でもこっちからしたら「どう見ても、お父さんの娘だけど」と思うんですけどね(笑)。SNSではちょっと楽しい“ちょけ田彩乃”と言われているんですけど、ふざけていたり楽しんだりしているときは、よく家族からURLのリンクと一緒に「家の彩乃で草」と送られてくるので、そういうところは普段の自分らしさが出ているのかなって思います。
――そのはっちゃけている姿も魅力的です。それこそバラエティ番組でも、モノマネを披露したり楽しそうにリアクションをされたり、堂々と自分を出しているように見えます。
増田:恥ずかしがる姿を見せるのが苦手なんです。だから「何事も全力でやります!」って気持ちはめっちゃありますね。
――オーディションの密着映像で、審査が終わったあとにコメントを求められて、笑顔で話した数秒後に涙を流されていたのも印象的でした。カメラマンさんが悔し泣きをしている増田さんに気づいて再びカメラを向けたら、パッと笑顔に切り替えていましたよね。弱いところを見せず、明るく振る舞う姿に根性を感じました。
増田:シンプルにそういう自分が好きじゃなくて。弱さって人に見せるものじゃないなって思うから、見られたら自然と笑っちゃうのはあります。
――これまでの活動を通して、自身の成長を感じるところは?
増田:振り覚えが早くなったと思います。生誕祭でカバーを披露することがあるんですけど、前よりも覚えられるようになったかなと感じます!
――活動前の経験が今に活きていると思うことはありますか?
増田:これもやってみよう、あれもやってみようと結構バラバラな人生だったんです。でも、その1つひとつの出来事がなかったら、今の自分はいなかったのかなと思います。先ほどお話ししたミスコンで言えば、私が出場した年のファイナリストはみんなが仲良くて。「このメンツでアイドルとして活動していこう」となり、急遽グループ結成の機会をもらえたんです。ビックリはしたんですけど、当時は自分のしたいことが明確になっていなかったので「一旦やってみるのもいいんじゃないか?」みたいな感じでアイドル活動をスタートして。そういったこれまでの経験が1つでも抜けていたら、ここに辿り着いていないなって思います。
自分らしくファンに届ける“いちばん好きな言葉”
――ちなみに、グループの中でご自身はどんな役割だと思いますか?
増田:メンバーもそうですし、応援してくれている方に対しても「楽しく笑っていてほしい」という気持ちが強くて。楽しませたいし、楽しい空間をこれからもみんなと一緒に作りたいと思います。
――増田さんらしい回答ですね。
増田:ステージ上でもふざけている方が、本来の私らしさだと思うんです。だけど、そうなれていないと気づいて。MCもそうですしパフォーマンスでも、もっと肩の力を抜いて、ありのままの姿でステージに立てるように頑張りたいなって思います。それはバラエティもそうで。普段だったら、いろいろ喋ってみんなで「わー、楽しい!」ってなるんですけど、そういう部分をまだ出せていないよなって思うので、そこも今後の課題ですね。
――メンバーから刺激を受けることはありますか?
増田:メンバーそれぞれが魅力に溢れていて、憧れるし尊敬できるので、いつも刺激をもらっています。それに感謝も大きいですね。生誕祭って自分が主になって準備をするんです。そのときに「この曲を覚えてほしいな」とか「これをやりたいと思っているんだけど」みたいな話をするのが苦手で。お願いするのが申し訳ないなと思っちゃうし、自分はみんなをまとめるのも得意じゃなくて。「せっかくの生誕祭が、ぐだぐだにならないかな?」という不安や焦る気持ちが強かったんですけど、メンバーは優しいから前日にLINEをくれた子もいたし、当日も「大丈夫だよ!」とすごく励ましてくれて。……(目を潤ませて)みんなにありがとうって気持ちでいっぱいになりました。
――その涙は当時のことを思い出して?
増田:はい。私に限らず誰かが落ち込んでいたら、ほかのメンバーが「大丈夫だよ」と励ます場面が多いので、本当に温かいなって思いましたし、自分の生誕祭でみんなが一丸となってくれているのも嬉しいなと思って。きゅ─すとっていいな、とあらためて思いました。
――これから個人として叶えたい夢や目標はありますか?
増田:きゅ─すとになってもうすぐ1周年ですけど、それ以前の活動が長い分「“あの”増田彩乃」として覚えてくださっている方が多いのかなと思うんです。だからこそ“CUTIE STREETの増田彩乃”として認識してもらえるように頑張りたいです!
――番組などでやってみたい企画は?
増田:なんだろう? 緊張しいが抜けたら、1人でバラエティとか撮影系のお仕事も経験できたらいいなと思うんですけど。まだ独り立ちをする自信がないので、今はきゅーすと・アイドル・青色として進んでいけたらなって思います。
――これまでの人生で、影響を受けた人や作品はありますか?
増田:わりと影響を受けるタイプではあるんです。共演者の方の言葉に対しても「あ、確かに!」と納得させられることが多くて。デビュー曲「かわいいだけじゃだめですか?」にしても、歌詞だけを読むと「かわいいだけでいいでしょ?」みたいにも受け取れますけど、歌の中身を見てみると可愛くないところがあっても、それを私たちが「かわいくないところもかわいいし、みんなも大丈夫だよ」という気持ちを届ける楽曲になっていて。それってすごくいいな、って思うんです。ふるっぱーさんが“NEW KAWAII”を発信されていることもそう。「みんな良いところも悪いところも肯定したうえで、ちゃんと自分を大切にしようね」と訴えているのがめっちゃいい。その言葉を私たちも届けたいな、って強く思う。「全部がその人の良さだからね」というメッセージは共感しますし、深いなって思います。
――変化球な質問ですけど、増田彩乃を漢字一文字で表すなら何がしっくりきますか?
増田:えー、なんだろう! “彩”ですかね。人生で何度も書いてきた言葉なのもありますし、割としっくりくるなと思いました(笑)。それこそアイドルになってから「言葉ってすごいな」と思うことが増えまして。今まで自分の名前について深く考えたことはなかったんですけど、「彩り」という言葉はとってもいいなって。これまでの人生も楽しかったけど、アイドルになってより一層、自分の人生が彩られたんです。自分がそう感じた以上に、“みんなの人生を彩りたい”気持ちも大きくなっているので、彩りっていいなって思います。
――最後にお聞きします。増田さんのいちばん好きな言葉はなんですか?
増田:昔から「ありがとう」の言葉がずっと好きで。小学6年生の作品展でも「ありがとうは笑顔のタネ」という作品を作っていたんです。当時はどんな気持ちでその言葉を書いたのか分からないですけど、こういう活動をしていると応援してくれるみんながいてこその自分だなと思いますし、いろんな方に対して「ありがとう」の角度がめっちゃあって。話すときだけでなく、文章を書いていても「ありがとう」が何回も出てきちゃう。「ありがとう」始まり「ありがとう」締まり、みたいな。文章的におかしいと思うんですけど、それでも言いたくなっちゃう。自然とみんなに「ありがとう」が出てきちゃいますね。
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