2025.07.1117:00
CUTIE STREET ソロインタビュー Vol.5:桜庭遥花「手の届かない遠くの存在でありたい」ーー“理想”を目指して歩むアイドル道
高校を中退してまで目指した“アイドル”という夢
ーー桜庭さんはどんな子供時代を過ごしていましたか?
桜庭遥花(以下、桜庭):仲のいい友達と外で木登りとかもしてたし、ゲームもしてました。いろいろ遊んでましたね。中学ではバスケ部で、人数が少なくてポジションはなんでもやっていたんですけど、主にフォワードかポイントガードでした。
ーー高校はダンス同好会だったんですよね?
桜庭:ダンスはずっとしてみたいと思っていて、友達に誘ってもらったのがきっかけで入りました。校内での活動がメインで大会に出るような感じではなかったのですが、ジャンルはヒップホップを踊ってました。
ーー小さい頃に好きだったアイドルは?
桜庭:アニメの『アイカツ!』(テレビ東京系)が好きで、初めてアイドルに触れたのはそこだと思います。あと、幼稚園の頃はAKB48さんが流行っていて、まゆゆ(渡辺麻友)さんが好きでした。かわいくて、今でも尊敬するアイドルです。
ーー桜庭さんは2023年にガールズグループオーディション番組に参加していますが、未経験ながら挑戦しようと思った理由はなんだったんですか?
桜庭:もともといろんなアイドルのオーディションを受けていたんです。番組当時は高2で、進路を決めなければいけない時期でしたし、「これが最後の挑戦だな」と思って挑戦しました。
ーーそのときの反響は?
桜庭:オーディション期間中はあまりネットに触れていなかったのですが、個人カメラ(特定の人物のみを捉えた映像)が公開されたときにいただいたコメントはよく覚えています。世間に注目されることが初めてだったんですけど、これだけ自分を見てくれてる人がいるんだという驚きと、嬉しさがありました。
ーーそのあとは、地元のラーメン屋さんでアルバイトをしてたんですよね。
桜庭:オーディションが終わってから1カ月くらい経って、「そろそろ何かしなきゃヤバい」と思った時に「バイトをしよう」と考えて、友達にすすめられたのがラーメン屋だったんです。ホール担当をしていたのですが、すごく楽しかったです。この前も一日休みがあったときに、日帰りでバイトメンバーの子たちに会いに行って楽しく過ごしました。
ーーラーメンは好きなんですか?
桜庭:ラーメン好きです! 美味しいですよね。私は醤油しか食べないんですけど(笑)。そこで働いてからハマりました。
ーー桜庭さんは北海道出身ですが、周りにも芸能を目指す子はいましたか?
桜庭:通っていた高校が厳しい校風だったので「芸能なんてありえない」という感じでしたし、周りにも芸能の道に進みたいと言っている人は一人もいなかったです。私もアイドルになりたいということは、周りの人はもちろん、仲のいい友達にさえ言えませんでした。だから今、みんなはびっくりしていると思います。
ーー厳しい高校だったんですね。
桜庭:私はオーディションを受けているうちに学校の単位が足りなくなってしまって……。学校によっては免除するところもあるのですが、私が通っていた高校は「前例がない」ということで中退になってしまい……高校の卒業資格を通信制の学校で頑張って取りました。
ーーそこまでしてオーディションを受けようと思ったのはなぜだったんですか?
桜庭:なんでなんだろう……自分が東京で活動するなんて想像もしていなかったんですけど、自分が暮らしていた狭い世界や環境から抜け出したいという気持ちもあったし、でも一番は憧れの気持ちが強かったんだと思います。アイドルという存在が好きで、救いだったから、自分も誰かを救える人になりたいなと思ってオーディションを受けました。オーディション番組で落ちたときも、東京に出てくるか、学校に行って就職するか迷っていたのですが、やっぱり「また挑戦してみたい」という気持ちが湧いてきて。きっとオーディションから受けた影響が大きかったように思います。そこで出会った子たちが本当にかっこよくて、すごく尊敬していて。私もそうなりたい、みんなと一緒にもっと上を目指したいと思って、東京で頑張ることを決めたんです。
ーーそこからCUTIE STREET結成に繋がるオーディション合宿を受けるわけですが、振り返っていかがですか?
桜庭:詰め込む量が多かったですし、振り入れの翌日に発表とかもあったので、スピード感も大変でした。
ーー以前のオーディションと比べても大変だった?
桜庭:5日間しかなかったので、スピード感は今回の方が大変でした。前回は1週間に1曲だったり、ある程度練習期間を取ることができたんですけど、ほぼ取らない状態で披露みたいな感じだったので、それは大変だったかなと思います。
ーー合宿期間でメンバーとの絆も生まれたと思います。
桜庭:(川本)笑瑠はグループが違ったんですけど、話しかけてくれたりして、それが嬉しかったなと覚えてます。
ーーそこからCUTIE STREETとして8人が合格となります。ようやく憧れのアイドルになれた瞬間ということですよね。
桜庭:この8人で始められるんだなと思って、楽しみな気持ちでした。でも、まだあまり実感はないかもしれないです。いまだにどこか人ごとみたいに思ってるところがあって、たくさんの方に曲を知っていただいてはいるけど、私自身はまだよく分かってない気がしています。
自分の“弱さ”と向き合う日々「強くあるって難しいですね」
ーー8月でデビューから1周年を迎えます。
桜庭:早いなって思います。振り返ってみたらすごく濃い1年だったので、逆に1年しか経ってないんだと思います。人生でこんなに濃い1年間を過ごすことは、そうそうないと思うので、不思議な気持ちです。
ーーひとつひとつのイベントは鮮明に覚えているものですか?
桜庭:覚えていますけど、1日1日が充実しているので、最近のことでもすごく前のことのように感じます。
ーー最近だと、2月に1stワンマンライブがありました。
桜庭:めちゃくちゃ前に感じますね。でも、もう4カ月近く経ってるのかとびっくりします。時間感覚がよく分からなくなります(笑)。
ーーこの1年を振り返っていちばん印象的だったのは?
桜庭:デビューしてすぐに出演した『@ JAM EXPO 2024 supported by UP-T』は初めての横浜アリーナだったんですけど、そのときに見た景色からは「こんなところに立てるアイドルになったんだ」と思えましたし、そこを自分たちだけでワンマンライブができるようなアイドルになりたいと思いました。
ーー先日の石川県でのリリースイベントには、5000人が集まったとSNSで話題になっていましたが、あれもすごい景色でしたよね。
桜庭:前回とは比べ物にならないくらいたくさんの方々がリリースイベントに来てくださっていて。自分たちを直接観たいと思ってくださるのは嬉しいことですし、感謝の気持ちで一杯です。
ーー初めて見に来てくれる方も多いですか?
桜庭:多いですね。特に各地方のイベントは東京に来られない方が多いので「初めて来ました!」という方もいて、そういうのが嬉しいなといつも思います。
ーー5000人だったら、1stワンマンライブの会場だった豊洲PITよりも入ってることになりますからね。
桜庭:そうですね! 以前は豊洲PITみたいな大きな会場が埋まるのかなと思っていたんです。こんなにたくさんの方々に支えられて、大きくなれて、すごいことだなと日々実感してます。
ーーこの1年を振り返って、自分が成長できたと思う部分はどんなところだと思いますか?
桜庭:体力はついたなと感じています。初めてのステージでは、2曲終わってすぐに「バタッ!」と倒れ込んでしまう感じで、疲れやすいヘロヘロのタイプだったんですけど、今は10曲以上やっても元気なので、ステージ慣れもあると思うんですけど、体力がついたのはいちばんの変化かなと思います。
ーートレーニングをしているんですか?
桜庭:デビュー前は、毎日筋トレと基礎レッスンとダンスレッスンでスケジュールがびっしりだったんですけど、最近は忙しくなっていてなかなか難しい状況なので、活動のときに全力でパフォーマンスをして慣れさせるのが主になっています。
ーー桜庭さんは「かわいくてキラキラしているけど、芯があって強くあるアイドルが理想」と話していますが、今ご自身がその理想のアイドル像でいられていると思いますか?
桜庭:それがいつまでも理想像にはありますけど、そんなアイドルの内心にも弱いところは絶対あると思うんです。自分には弱いところしか感じられないから、難しいなって日々感じてます。強くあるって難しいですね。
ーーその弱さを表に出さないところが、桜庭さんは自分のアイドル像をしっかり持っているなと感じます。
桜庭:そうですね。キラキラしていたい、と思っています。SNSが普及して、アイドルも身近な存在になっているとは思うんですけど、私の憧れるアイドルは手の届かない遠くの存在なので、そうありたいと思っていて。
ーー結成前の活動の経験が、今に活かされてる部分はありますか?
桜庭:全てが糧になってると思ってます。オーディション番組を経て、技術面もメンタル面も一気に変わったし、育てられたと思います。今活動しているうえで、いちばん大きな影響を受けた場所だと思っていますね。周りの子たちもすごい子たちばっかりで、そのなかで自分の魅力を伝えていかないといけない場所だったので、成長できました。人と順位をつけられたりとか、そういう場に慣れていたから、今でも精神面でその経験に支えられている部分もあるのかなと思います。
ーー桜庭さんのグループにおける役割はどういったところだと思いますか?
桜庭:難しいですね……。みんなで支え合うところが大好きで、私は支えられている部分も多いなと思います。役割は考え中ではあるんですけど、最近はいろんなものが好きで、趣味をグループに活かせるところかなと思っています。お仕事の話が来たときに、自分は漫画が好きで、いろんなものを知ったり、調べたりするのが好きなので、そういうところでもグループに還元できたらいいなって思っています。
ーー今好きな漫画はなんですか?
桜庭:この前まで『ハイキュー!!』を読んでいて、今は『斉木楠雄のψ難』を読んでいます。『ONE PIECE』とか『進撃の巨人』には影響を受けましたし、特に『ONE PIECE』からは全てを学びました。
ーー『ONE PIECE』の好きなエピソードは?
桜庭:私はエニエス・ロビー編が好きです。「死にたい」って言うロビンに、ルフィが「そういう事はお前、おれ達のそばで言え!」っていうところが好きで。死にたいって言わせないんじゃなくて、全部を受け入れるところに思いの深さを感じます。
ーー桜庭さんにとって、漫画が心の拠り所なんですね。
桜庭:小さい頃からツラいことがあったときに漫画の世界へ逃げ込むみたいなところがあって、それが悩みの一種の解決法でしたし、心の拠り所でもありました。今は“アイドル”という仕事が、強く物事の影響を受ける場所なんですけど、そこにすべての心を委ねてしまうと、何かがあったときに大きなダメージを受けてしまうと思うんです。でも、私は漫画やアニメが好きで、そこに気持ちを持っていくことで、心のバランスが取れるというか。そういう心の支えを作るのは、活動を続けていく上でも大事だなといつも思っています。
“自分だからこそできること”を武器に次のステージへ
ーー個人で番組に出るのは緊張しますか?
桜庭:すごく緊張しますし、最初はプレッシャーもすごく感じていました。でも、すごい方に囲まれて出演しているから特に学ぶことが多いです。
ーーグループ最年少っていうのも、ある種ポジションですよね。
桜庭:最年少という立場に甘えないようにしようと思ってるんですけど、でもみんなが優しくしてくれるから、甘えてしまう部分もあるんです。でも、甘えないように頑張ってます! みんな人の気持ちを考えるのが得意というか、掛けてほしい言葉が分かってる、お互いを理解し合って思い合えるグループだなと思います。
ーー桜庭さんは人に相談できるタイプですか?
桜庭:相談できないタイプです。家族とか友達だとやってることが違いすぎるから、同じ環境下にいるメンバーは心強いんですが、自分のことで時間を取らせるのが申し訳ないと思ってしまって……。でもスタッフさんであれば、メンバーの話を聞くこともある意味“仕事”だと思うんですけど、その方が私は相談がしやすいというか。いつも話を聞いていただいて、とてもありがたいなって思います。
ーーどちらかというと悩みを抱え込んでしまうタイプ?
桜庭:自分のなかで悩みます。悩んでいる原因を見つけて、それを解決するしか、自分の気持ちが回復することはなくて。解決法を必死に探すんですけど、なかなか見つからないこともありますね。
ーー今の自分に足りないと思う部分はありますか?
桜庭:上には上がいるし、そのなかで自分を発信していかないといけない職業で、自分より強みを持っている子がたくさんいるし、難しいなといつも思います。根が明るくないのですが、暗いからこそ分かることもあると思うんです。ファンの方の気持ちも分かるし、そこも強みにできたらいいなと思いつつ、「私ってアイドルに向いているのかな」と考え込むことは時々ありますね。自分が画面に映るといまだに「うわっ!」てなりますし(笑)。
ーー桜庭さんには、天性のアイドルとしての雰囲気があるなと感じますよ。
桜庭:そう言っていただくことも多いんですけど、自分ではわからなくて。「私って普通だな」と思って生きてきたので、びっくりしています。自分ではふわふわして見えるなと思います。
ーーふわふわしてるけど芯があるというか、その強さがアイドルとしての魅力だなと思います。
桜庭:中身は尖ってるんですけど、あんまりそう見られないから、びっくりって感じです。
ーー尖ってるピンクということですか(笑)?
桜庭:そうですね(笑)。
ーーCUTIE STREETは、メンバー8人がそれぞれの“かわいい”を放っているグループだと思うんですけど、桜庭さんが思う自分の“かわいい”はどんなところだと思いますか?
桜庭:さっき言ったような強くてかっこいいアイドルが好きなんですけど、私は声を褒めてもらえることが多くて。グループでもかわいい曲でパートを担当させてもらえることが多いので、曲の世界観を表現するときに力になれていたらいいなと思います。
ーー桜庭さん個人としての夢や目標はありますか?
桜庭:憧れるのは強くてかっこいい人です。今興味を持ってるのは声を使った仕事。声優だったりとか、そういったものに興味があります。
ーー7月には『JOIN ALIVE 2025』への出演も決定しています。北海道出身の桜庭さんとしては、特別な思い入れもあるのではないですか?
桜庭:自分は観る側だと思っていましたし、実際に会場にあいみょんさんを観に行ったこともありました。アイドルになる前に社長に、「『JOIN ALIVE』に出たいです!」と話していたくらいだったので驚きですし、友達も「行くよ!」と連絡をくれているので楽しみにしています。すごいイベントだからこそ、自分がそこに立つことが想像がつかな過ぎますね。
ーーそのほかにも夏フェスへの出演が続々とアナウンスされていますよね。
桜庭:今年は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025』にも出演させていただきます。夢の舞台でしたし、去年は私が参加していたオーディション番組から誕生したアイドルグループが出演していて、「こんなところに出られるアイドルになったんだ、すごいな」と思っていました。その舞台に今年は自分たちが立てることが本当に嬉しいですし、来年はもっと大きいステージを目指せるように頑張りたいです。
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