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2025.07.1317:00

CUTIE STREET ソロインタビュー Vol.7:板倉可奈「私はアイドルじゃないな」――葛藤を経て見つけた自分らしい表現

モデル、YouTuber、アイドル活動……常にともにあった“ダンス”



――板倉さんはどんな子供でしたか?

板倉可奈(以下、板倉):今とあまり変わりはしないんですけど、マイペースで好きなことには集中する子でした。パズルをエンドレスでやっていたりとか。今はもう少し幅広く集中できるとは思うんですけど、好きなものとその他の線がはっきりしてる子だったとは思います。あとはご飯をよく食べる子でした。今でも食べることは大好きなんですけど、お腹が空くと元気がなくなってしまうから、何も喋らなくなるんです。お買い物中も「可奈が喋らなくなったらもう終わりだから何か与えろ」みたいな(笑)。今でも元気はなくなっちゃうんですけど、メンバーといるときは、メンバーがすごく喋るので私が黙っていてもあまり気づかれないですね(笑)。

――板倉さんといえば“ダンス”というイメージがありますが、どんなきっかけで始めたのですか?

板倉:両親はピアノやバレエのようなかわいらしいものを習わせたかったみたいなんですよ。でも、同じフロアにあったレッスン教室を順番に見ていったなかで、ほかの教室には全く興味を示さずに、どれだけ連れ回してもヒップホップダンスの教室しか見ていなかったそうです。

――ヒップホップダンスのどういったところに惹かれたんでしょう。

板倉:レッスンの雰囲気だと思います。自分より上のお姉ちゃんたちが楽しそうに踊ってるのに惹かれたんじゃないかな。ヒップホップに興味があるというよりは、レッスンが楽しそうだったからだと思います。先生も穏やかで、楽しい雰囲気を作るのが上手な方で。そういった場ができていると、ダンスが上手にできていなくてもレッスンに行きたくなるんですよね。

――そこからはダンス一筋で。

板倉:そうですね。ダンス漬けの幼少期という感じでした。5歳からダンスを習い始めて、小学3年生の頃からはキッズモデルのお仕事をやっていたので、平日は学校に行ってダンスのレッスン、土日はコンテストかお仕事でした。コンテストには、めちゃくちゃ出てましたね。それに向けての練習を朝方までやっていた記憶があります。夜中の3時とか……。眠いけど踊らなきゃいけないですし、コーチが言うことを理解しようとしてもだんだんと頭がこんがらがってきちゃったりして。朝方に家に帰って眠って、それから7時ぐらいに起きて登校するんですけど、学校では起きていられなくて。ハードな日々だったなと思いますね。今よりも忙しかったかもしれません。

――YouTubeでも活動をされていたそうですね。

板倉:中学生の頃にグループでYouTubeをやっていました。年齢的には私がいちばん上で、小中学生の同世代をターゲットにした内容でしたね。踊れるメンバーが多かったので、ダンス企画やファッション企画もやりましたし、自分たちで動画のタイトルから企画内容、意図まで考えて、報告書みたいなものにまとめて提出していました。最低3つのアイデアをメンバー全員が出して、そこから企画を選んで、毎回撮影して。私服を2、3着持っていって、着替えて撮ってを1日中やるので、ダンスのレッスンに行きつつ、YouTubeが始まってからは土日は撮影になりました。

――その後、「kana_noaチャンネル」を立ち上げます。

板倉:相方はキッズモデル時代から一緒に踊っていた子なんです。お仕事で出会って、プライベートでも家族ぐるみで仲が良いのは唯一この子ぐらいです。グループでのYouTubeが終わってしまったので、「じゃあ2人でやってみよう」という軽い感じで始まりました。自分たちで企画を考えて、撮影も編集もして、動画投稿までの一連の作業を全部やってました。

――そんな多忙な生活のなかで、アイドルに興味を持ったきっかけはなんだったんですか?

板倉:実は小学3年生から始めたキッズモデルの仕事の一環で、いわゆるアイドル的な活動もしていたんです。そのときに難しかったのが、“アイドルとしての踊り方”でした。ゴリゴリのヒップホップをやっていたので、かわいく踊ることができなくて。先生にも「かっこよすぎる」って言われてしまっていて……。私はずっとヒップホップでやってきたので「いやムズ! 分かんない!」っていう。正解が見つけられずに、模索の期間がありました。トレーニングもしていたので、ダンサー体型というか筋肉もバキバキだったんです。でも周りにいる子たちは細くて、私とはまるで正反対の体型で。母にも「あんた、ゴリラみたい」と言われて(笑)。なので一旦筋トレをやめて、少しづつモデル体型にしていきましたね。イベントのダンスショーでは、“ザ・お人形”みたいなフリフリの洋服を着て、かわいいダンスを踊っていました。今までは睨みつけるような表情を作っていたのに、かわいい表情を求められるので、自分にとっては新しい挑戦でした。……あ、意外と今と同じことで悩んでいたんだなと、話していて気づきました。


オーディション合宿で見つけた自分らしい表現



――オーディション合宿でも、同じ課題に向き合っていましたよね。あらためて、なぜオーディションに参加したのでしょうか?

板倉:きゅーすと(CUTIE STREETの略称)に入る前が暗黒期で、何をしたらいいのか分からなくて。自分の居場所が無いというか、悩みまくりで、迷走していて、何をやっても病んでしまうダメダメな時期でした。マネージャーさんにオーディションのお話をいただいて、歌にはまるで自信がなかったんですけど、当時はそんなこと言ってられないくらいに切羽詰まっていたので、チャレンジしようと決めました。アイドルをやっていた友達がいて、そのライブがいちばんの癒しだったんです。ライブが終わった後の余韻がすごくて……。当時はアイドル側になるとは考えてもいなかったんですけど、あの経験もオーディション参加を決めた理由のひとつかもしれません。

――オーディション期間を振り返っていかがですか?

板倉:めっちゃ大変でした。オーディションが始まる直前に撮った写真と終了後に撮った写真を見比べたら、目のクマがすごくて頬もこけてて(笑)。オーディション中、私からしたら参加していたみんながアイドルすぎて、「私はアイドルじゃないな……」と不安もありました。でもその分アイドルになるためのヒントというか、お手本にする子はいっぱいいて、「こういう表情するんだ」とか「この子のこういう動きかわいいな」とか。でも自分がそれをやってみると何か違っていて。今でも難しいんですけど、ただ真似をすればいいというものではない、ということを学びましたね。そのおかげでオーディションでは、真似をする部分と自分らしさを出す部分のいい塩梅を探すことができました。“かっこいい”がアクセントになると信じて、個人曲でもかっこいい曲を選んだら、かわいいの中にかっこいいを入れるイメージでできた気がします。でも、難しかったなあ……。




――技術面ももちろんですが、精神面が鍛えられた部分もあると思います。

板倉:ありますね。極限すぎる数日間だったので、もともと体育会系な考え方が、さらに体育会系になりました。あそこまで追い詰められたことはないと思うので、「今月も忙しいけど、大丈夫、なんとかなる」と、合宿の日々がへこたれずに自分を保つことができる理由になっています。

――合宿を経て、CUTIE STREETの結成メンバーに選ばれます。

板倉:顔ぶれを見て、最初は私がいることが信じられなかったですね。でもなんか、このメンバーなら大丈夫かもと思いました。

――「大丈夫」ですか?

板倉:「有名になれる」とかそういう意味ではなくて。私が心配だったのは、グループ活動をするにあたって「いい関係性でいられるのか」ということだったんです。いちばん身近な存在であるメンバーとの関係性が良くないのは、外から見ていても分かりますよね。自分としても、活動するにあたって素が出せないのはよくないと思っていて。でも顔ぶれを見たときに、その心配がなかったんです。極端な例ですけど、もしすっごい悪い大人がいても、メンバーの関係性さえ良ければどうにかなるというか。「味方がいる」っていちばん大事だと思っているんです。感覚でしかないんですけど、「背中を預けられそう」「肩を組んで歩けそう」みたいな雰囲気はありました。合宿でお互いの限界値を見ていることも大きかったと思いますね。

――今、その信頼感はより深まっていますか?

板倉:深まるばかりですね。仕事の話題が多いですけど、何でも話せる関係性なのでそれって素敵だなと思っています。日常のなかで当たり前のように、女子会のような感じで仕事の話をするんですよ。「今度、SNSどうする?」「ライブのこれヤバくない?」とか。日常のなかに仕事の話があるから、それが何でも言いやすい環境に繋がっているというか。人を否定する子がいなくて、相手の意見を受け入れたうえで自分の意見を考えられる子が揃っているんです。よその人が聞いたら、強い言い方に聞こえるときもあるのかもしれないんですけど、それは仲が良くて、ある意味そこに遠慮がないからなんです。みんなで日常的に話してきた中で、培ってきた信頼関係なのかなと思います。


「メンバーの“かわいい”って本当に私には真似できない」



――8月にはデビュー1周年を迎えます。

板倉:本当に早いですね。でも去年の今頃を思い返すと、環境が変わったということをあらためて実感します。今年も『TIF』(『TOKYO IDOL FESTIVAL』)に出演させていただけることが、めちゃくちゃ嬉しいんですよ。私が人生で初めてマイクを持って、ステージに立って踊った場所なので。去年みんなで「また大きくなって帰ってこようね」と話していたことをすごく覚えていて。それを実現できることが、本当に嬉しいです。あと先日、メンバーみんなで渋谷駅に掲載された1周年ツアーの広告を見に行ったんですよ。あの場所ってアイドルさんの広告をよく見る場所じゃないですか。通った人はサラッとでも目に入ると思いますし、「みんな気になっちゃうよね」なんて話していました。あんな大々的に渋谷駅に広告が出るなんて、1年前は考えてもみなかったなと思います。

――これまでの1年を振り返って、特に印象的だったトピックはありますか?

板倉:『MUSIC AWARDS JAPAN』の授賞式に出席させていただいたことですね。オープニングから本当に感動しちゃいました! おばあちゃんになったら「このミントグリーン、私だよ」って絶対自慢できると思うほどの経験でした。でも実は、最初にノミネートしていただけたことを聞いたときは、どこか他人ごとというか、自分のことではない感じだったんです。でも授賞式が近づいてくるにつれて実感が湧いてきて、当日は錚々たる方々の中に、まだデビューして1年も経っていない私たちを選んでいただけているのが恐縮すぎて。賞に見合うグループになれるように頑張ろうと、より一層気が引き締まった日でした。初回にノミネートさせていただけたのは特別だなと思いますし、来年もまた出席できたらいいなと思ってます。

――板倉さんがこの1年で自身の成長を感じる部分はどんなところだと思いますか?

板倉:もともと未経験だったのもありますが、今は歌ですかね。最初は何がよくて、何がダメなのかも分からなかったんです。合宿中も先生に言われるがままやるしかなくて。でも最近は少しづつ、何が違うのかに自分の感覚で気づけるようになってきました。ボイトレの先生にも「アドバイスをした後の対応が早くなってきている」と言っていただけていて、少しづつ成長できているのかなと思いますね。レッスンやライブが終わったあとに、「今日のここ全然できなかったな」とかも感覚的に分かるようになってきました。

――日々、成長をしているのですね。では今のグループにおける自身の役割はどんなところだと思いますか?

板倉:パフォーマンス面で言えば、やっぱりダンスなのかなと思います。小さい頃からやってきて身体に染みついているので、そこはみんなの動きも見つつ自分が引っ張っています。今はありがたいことにお仕事が多くて、レッスン時間があまり取れないのですが、ダンスを揃って見せる工夫をしています。近くにいる子の動きに自分をちょっと似せると不思議と揃って見えるんですよ。統一感が出るというか。一体感を出したいパートが少しでもそう見えるように、前にメンバーが2人見えたら、なんとなくその2人を意識して踊っています。ダンス面でよりよく見えるように、自分も何かできたらいいなとは考えています。

――“かっこいい担当”という声もあるのかなと思います。

板倉:実は、かっこいい担当と言われるのは人生で初めてで。これまでは、どちらかと言うとかわいい寄りに位置することが多かったんです。でも今、全然素の自分なので「私、ここだと“かっこいい”に当てはまるんだ」と驚いています。だからといって「かっこよくいなきゃ!」とは思っていないのですが、自由に任されているパフォーマンスの中では、かわいいの中にクールで大人っぽいエッセンスを意識しています。かわいい表情は作りつつ、動きでは少し落ち着いた雰囲気を出したりとか。周りを見ながらも、自分らしいパフォーマンスを心がけています。

――もちろん、ほかのメンバー7人もそれぞれの“かわいい”を発揮しているわけですよね。

板倉:みんなから常に刺激を受けていて、コミカルな動きや表情などは参考にさせてもらっているんですけど、メンバーの“かわいい”って本当に私には真似できない部分なんです。でもそれがグループである意味だし、それでいいのかなと思っています。結果的に、私の“かっこかわいい”という立ち位置もできたので。

――これまでの経験が今のグループ活動に生かされている部分はありますか?

板倉:私は今までお仕事でもダンスでも、グループで活動させていただくことが多くありました。それがどう活かされているのかは分からないですけど、グループで活動するのと個人で活動するのとでは全然違うので、自然と身についてきたものが活かされてる部分はあるのかなと思います。あとは動画編集の経験があるので、今でもコメント撮りで噛んじゃったときに、「こう言い直した方が編集が楽だろうな」とか「間違えた前後で手の位置を同じにしておけば自然かな」とかは脳裏をよぎりますね(笑)。

――全ての活動が今に繋がっているんですね。それでは最後に板倉さん個人としての目標を聞かせてください。

板倉:CUTIE STREETをもっと知っていただけるように頑張りたいのですが、私は緊張しいなのでTV出演に苦手意識を持っていて。普段の自分をまるで出せていないんですけど、そこを頑張りたいです。あと、昔から好きなモデルの仕事をしたいですね。あと最近はダンス番組も多いので、きゅーすとを広められるチャンスとして、ダンスを披露できる場があれば頑張りたいです。きゅーすとのために自分が役に立てるときが来たら、全力を尽くします!



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