2025.07.1517:00
CUTIE STREET 全員インタビュー 前編:この8人の出会いは「運命」 不安、喜び、悔しさとともに駆け抜けた日々
「本当の性格が見える期間だった」振り返る過酷なオーディション合宿
――デビューのきっかけとなったオーディション合宿から振り返らせてください。初めて顔合わせをしたときのことを覚えていますか?
真鍋凪咲(以下、真鍋):とにかくみんな“強烈”って感じでした(笑)。
川本笑瑠(以下、川本):ほんとに“強い”って言葉がピッタリだったよね。
真鍋:ただ、その強いというのが変な意味じゃなくて。それぞれにしっかり武器があって、自分の色を持っているっていう意味の強さなんです。「あ、これはとんでもない場所に来たぞ」って思いました。そこに自分もいるっていう状況に、正直焦りも感じましたし、「頑張らなきゃ」ってスイッチが入った瞬間でした。
――参加者それぞれのレベルの高さは、合宿の空気にもしっかり表れていたんですね。
梅田みゆ(以下、梅田):スタッフさん的には「メンタル面を見ていた」と言っていたんですけど、実際の審査では、まず歌とダンスをガッツリ見られていたんですよ。で、やっぱりスキルが高い子が集まっていて、さらにまとめる力があったり、コミュニケーション能力が高かったりと、とにかく総合力がすごくて。だから本当に「強い子たちが残ったな」って思います。
――そうした中で、合宿中に印象に残っている出来事ってありますか?
古澤里紗(以下、古澤):お風呂の記憶がすごくあります(笑)。大浴場で、時間ごとにグループで入るスタイルだったんですけど、初対面の人と一緒に入るのがまず緊張で……。しかも時間が限られているから全然リラックスできなくて、ほぼ浸かってないです(笑)。お風呂大好きな私でも、あのときは無理でした。
川本:そのときの課題曲がSWEET STEADYさんの「ミチシルベ」だったんですけど、お風呂の中で誰も歌ってないのに、ずっとその曲が幻聴みたいに聞こえてきて(笑)。「誰か歌ってる?」って聞いたら「歌ってないよ」ってなって。みんなも「私も聞こえてた」って言ってました。
――幻聴が聞こえるほど、真剣に取り組んでたってことですよね。
増田彩乃(以下、増田):しかも、お風呂を早く上がるとその分、自主練できる時間が長くなるんですよ。だからチームで「何分に入ろう」とか作戦会議もしてて。体だけじゃなくて頭もすごく使う合宿だったなって思います。
――メンタル面のプレッシャーも相当だったのではないでしょうか?
真鍋:本当にそうでした。合宿では個人パフォーマンスもグループパフォーマンスもあって、ライバルであり仲間でもあるという複雑な関係性の中で、みんなで声を掛け合って支え合っていました。担当スタッフさんも1チームに2人くらいついてくださって、すごく親身にアドバイスしてくれたのも心の支えになっていましたね。
――真鍋さんは、披露の直前に過呼吸になってしまったこともあったそうですね。
真鍋:今まではパフォーマンスの場が怖いと思ったことはなかったんですけど、「このパフォーマンスで人生が決まるかもしれない」って思った瞬間、頭が真っ白になって、一気にプレッシャーが押し寄せてきてしまって……。焦りと不安で息ができなくなったのを覚えてます。みゆも大変だったよね?
梅田:正直、メンタルは保ててなかったです。もう普段の自分を装って明るく振る舞ってたけど、内心はずっとグチャグチャ。明るく見せないと自分が壊れそうだったというか。それでも「この数日間で人生が決まる」と思って必死に食らいついてました。
桜庭遥花(以下、桜庭):私は3日目くらいでやっとみんなの名前を覚えた感じでした(笑)。オーディションの経験はあったんですけど、課題曲の振り入れから次の日に即披露とか、そんな詰め込みスケジュールは初めてで……。とにかく大変だったなっていうのがいちばんの印象です。
佐野愛花(以下、佐野):なぎとみゆと彩乃が一緒のグループだったんですけど、最終日に「今日で全部が決まる」というプレッシャーで、急に振り付けが全然出てこなくなってしまって……。自分だけじゃなくて、グループの中でも何人か、いきなり真っ白になって動けなくなってしまう子が出てきて。それで、ちょっとパニックというか、「どうしよう!」って、みんながざわついてしまった瞬間がありました。自分も「やばい、やばい」って焦っていましたし、そんな中でなんとか気持ちを持ち直して、本番はちゃんとやり切れたんですけど、普段なら冷静な子までああなっているのを見て、「本当にすごいことに挑んでるんだな」と実感しました。
――内面がむき出しになるような、そんな瞬間でもあったんですね。
佐野:そうですね。みんな、限界を超えていたと思います。だからこそ、その人の素の姿が表に出るというか。良くも悪くも、その子の本当の性格が見える期間だったなと感じていました。
――そうした経験が、今のグループの団結力につながっているのかもしれませんね。あのときにさらけ出したからこそ、今の仲の良さがあるというか。
佐野:そう思います。あの合宿期間は、いろんな意味で大きかったです。
CUTIE STREET結成 明かされるデビューまでの日々
――オーディションを経て、ついに8人でCUTIE STREETとして活動することが決まりました。木村ミサさんからのリモート発表で合格メンバーが告げられたときはどんな心境でしたか?
古澤:その前日に最終審査があって、残ったのがちょうど8人だったんです。だから「ここからさらに何人か落とされるのかな」と覚悟していたんですよね。ミサさんの発表のトーンも、ちょっと緊張感があって。でも「この8人です」と言われて、「えっ、全員……!?」って。もうホッとしたというか、「よかった」って気持ちが一気にあふれてきました。
川本:すごく静かなトーンで「8人です」って言われたので、逆に戸惑っちゃって(笑)。でもそのあと「イェーイ!」ってみんなで喜び合って。安堵と驚きと、希望が全部一緒に押し寄せてきた瞬間でした。
――スタートを切ると決まってからメンバー同士ではどんなふうに過ごしましたか?
板倉可奈(以下、板倉):すぐご飯行きました(笑)。
古澤:そうだった! 合宿中も自然と今のきゅーすと(CUTIE STREETの略称)のメンバーとは話していたので、グループになってからもその流れでご飯行って、「これからどうする?」って自然に話してましたね。
川本:ご飯の場がそのまま初ミーティングみたいな感じで。「こういうのやりたいよね」「こういうグループになれたらいいな」って、ワクワクしながら話していた記憶があります。
真鍋:そのとき、みんな「この8人、マジで鳥肌立つほどいいよね」って口を揃えて言っていました。最終オーディションが終わった直後もみんなでご飯を食べに行ったんですけど、その場でも「この8人で活動できたら、ほんと奇跡だよね」って盛り上がっていて。
佐野:「これ運命じゃない?」って、みんなが本気で思ってた。いろんなタイミングや偶然が重なって集まったこの8人に、ものすごく意味を感じていましたね。
――みなさんには何度か取材させていただいていますが、すごくグループとしてまとまっていますよね。
板倉:めちゃくちゃまとまってますね(笑)。
川本:そういえば、最初に全員で掲げた目標って「最速で武道館に行く」だったんです。細かく言えば「音楽番組に出たい」とか「こんなライブがしたい」とかいろいろあったけど、まずいちばん大きな夢として「武道館を目指そう」って話になって。あの時の熱量は今でも忘れないです。
――メンバーが正式に決まってから、8月のデビューまではあっという間だったと思います。その期間はどんなふうに過ごしていたんですか?
板倉:とにかくレッスン漬けの日々でした。ボイストレーニング、ダンスレッスン、それにバラエティレッスンもあって、毎日スケジュールがパンパン。レッスンが終わると、みんなヨガマットを引いて床で仮眠してたよね(笑)。
川本:懐かしい〜! 30分だけでも仮眠して、少しでも体力を回復させてって感じでした。寝落ちしながらも「あと何分?」って確認しあったりしてましたね(笑)。
梅田:でもその中でちゃんと笑いもあって、気を張りつめすぎずにいられたのはこの8人だからこそだった気がします。
――そして迎えた『TIF』でのデビューですが、ステージに立ったときのことは覚えていますか?
桜庭:ステージに立つこと自体がすごく久しぶりだったんですけど、CUTIE STREETのメンバーとして立つのは初めてだったので、もうすごく新鮮で、楽しくて、「早くまたステージに立ちたい」って思いました。
梅田:私たちのデビューって、いきなり人がすごく多い場所だったんですよ。以前やっていたグループのときは、お客さんが少ない中でのステージもあったので、「こんなに見てくれてる人がいるんだ……」って驚きました。
増田:全然違う景色で、びっくりしましたね。
板倉:私もそう。ステージに立って、お客さんの熱量をすごく感じたんです。「見に来てくれた」っていう気持ちがダイレクトに伝わってきて、ただただ感動しました。
――そこからすぐにブレイクしていったわけですが、ご自身たちはそのスピードをどう受け止めていましたか?
川本:全然ついていけてなかったです(笑)。「かわいいだけじゃだめですか?」を『TIF』で初披露したんですけど、当時まだ配信リリース前だったので、TikTokにも投稿できなかったんですよ。当時の私たちは完全に生き急いでいた部分があって、「この1カ月、何もしなかったら忘れられちゃう!」って、本気で焦ってました(笑)。スタッフさんに何度も「音源早く出せませんか!?」って聞いてたよね。
佐野:TikTokで音源が解禁されてからは、時間が経つにつれてじわじわ再生数が増えて、「バズってるのかも?」って実感が湧いてきました。最近になってからようやく「あれってすごかったんだ」って理解できましたね。
――「バズる」とはどういうことか、身体感覚として理解できたタイミングがあったんですね。
古澤:私、親戚から「この曲知ってるよ」って言われて、「あ、やっぱり世間にも届いてるんだ」って思いました(笑)。TikTokでも、最初は自分たちの投稿ばかりだったけど、だんだん全然知らない人が使ってくれているのを見て、「すごいことになってる」って気づきました。
全員に芽生えた感情「いつかこの場に堂々と立てるようになりたい」
――CUTIE STREETの活動が広がる中で、ファンの皆さんとの関係性もどんどん深まっていったと思います。あらためて、ファンの存在の大きさを実感した出来事はありますか?
板倉:もう、数えきれないほどあります。やっぱりいちばん強く感じるのは、直接会えるライブの場ですね。自分たちの歌やパフォーマンスを届けられることも嬉しいけど、それ以上に「わざわざ時間とお金を使って、私たちに会いに来てくれる」っていう事実に、本当に心を動かされました。
増田:そうだね。「仕事終わりで急いで駆けつけました」とか「夜行バスで来ました」という声をもらうことが増えました。直接会えるとやっぱり嬉しいし、少しでも笑顔や元気を届けられていたらいいなって、毎回思っています。
川本:ライブ会場でいちばん後ろのほうから手を振ってくれる方や、「声は届かなくても、気持ちは届いてます」ってSNSでメッセージをくれる方の存在も、すごく大きいです。会場に来られなくても、全国で応援してくれるファンの方がいると知っているからこそ、どこにいても全力で頑張ろうと思えます。
――この1年を振り返って、皆さんにとって「ここがターニングポイントだった」と感じる瞬間はありますか?
真鍋:間違いなく『MUSIC AWARDS JAPAN』の授賞式に出席させていただいたことです。私たちにとっては初めてあんなに錚々たる方々がいるような場所に行かせていただく機会で、テレビでずっと観てきたようなアーティストさんたちがすぐそこにいる。あの場所に自分たちがいていいのかって、正直ちょっと信じられない気持ちにもなりました。
――それだけ大きなプレッシャーもあったんですね。
真鍋:プレッシャーというより、自分たちがまだまだだっていうことを突きつけられた感じでした。歌やダンスだけじゃなくて、佇まいとか表現力のどれを取っても、まだまだ遠いなって。だけどそれと同時に「私たちも絶対にここに追いつく」「この場所にふさわしい存在になりたい」って、強く思いました。
川本:あのとき、「最優秀アイドル賞」にノミネートされていたんです。受賞したのはSnow Manさんだったんですけど、まずノミネートされたこと自体がもう光栄で。名前を呼ばれるって、ちゃんと見てくれてる人がいるって証明だと思うので。もちろん、今の自分たちがその賞を取れるとは思っていなかったですし、実力的にもまだ足りないなというのは感じていて。でもだからこそ、「いつかこの場に堂々と立てるようになりたい」って、メンバー全員が思っていましたね。そこでその気持ちが自然と一体になったというか。誰かが口に出したわけじゃないのに、「あ、今みんな同じこと考えてるな」って分かり合えた瞬間でした。
古澤:そのあと、帰りのバスで感動しすぎてみんなテンション上がっちゃって(笑)。「今のままじゃダメだよね」「もっと練習しよう」って、自然に会話が生まれていたのが印象的でした。
板倉:誰が喋ってるか分からないくらい、車内が騒がしくて(笑)。でも、あのときのうるささには、確かな希望と覚悟が詰まっていたなって、今は思います。
――アソビシステムのアイドルはその辺りの意識がすごく高いですよね。
増田:そうですね。私たち、本音で言い合うことが日常なんですよ。お互いの意見をぶつけるというより、「こうしたらもっと良くなるよね」って、前向きな共有が自然にできる。それがこの8人の強さだなと思います。
佐野:それに、全員がちゃんと自分の意見を持っているんですよ。話し始めたら止まらないし、どんどん派生して、SNSの戦略とかライブの見せ方とか、気づけば仕事の話で盛り上がっていて(笑)。
真鍋:でも、それを仕事って思ってないところが私たちらしいよね。責任を持って向き合ってはいるけど、好きなことを語り合ってるだけ。感覚的には、部活の延長みたいな感じかもしれないです。
――CUTIE STREETが結成当初に掲げた最速で武道館という目標に向けて着実に歩み始めているように見えます。あらためて、今のCUTIE STREETが大切にしていることはなんですか?
佐野:「どんな時も、本気でやる!」ということです。SNSもステージもリハーサルも、全部に全力で向き合う。それがファンの方に伝わることがいちばん嬉しいし、私たち自身もそこにやりがいを感じています。
古澤:あと、8人で話す時間はやっぱり大事にしてるよね。たぶん、毎日誰かと「今後どうする?」って話してるかもしれないです(笑)。
未公開写真掲載のRealSoundはこちら🔽